決算間際でも間に合う節税策 ―その1―
―税理士 内田晃夫さん―
決算間際になって、想像していた以上に利益が出て税金が多額になると予想されると、誰でも何とかして税金を安く抑えたいと考えるものですね。そんな方のために決算間際でも間に合う節税策をいくつかご紹介します。
【1】在庫処分をする
期末時点で未使用の材料や売れ残っている店販用商品は当期の経費にはならず、それを使用したまたは販売できた段階ではじめて経費になります。つまり期末に在庫として残っている材料や店販用商品が多いほど経費にできる金額が少なくなり、その結果利益が膨らんでしまいます。
通常販売価格で売れる見込みがあるのならまだよいのですが、売れる見込みのない商品はいつまでたっても経費にできないし、売れないので現金収入もないし、いいことはありません。在庫処分セールをしたほうがマシです。売れれば原価部分は経費にできますし、わずかであっても現金収入があるわけですからそのお金で別の節税策をとれることもあります。 また、何らかの理由で使用する可能性がなくなった材料などが残っていれば、廃棄処分することで経費にできます。ただし、廃棄の場合は証拠が残りにくいので、業者に引き取ってもらう場合は証明書を発行してもらいましょう。そうでない場合は在庫管理表に廃棄の旨を記載するなどしておきましょう。
【2】不要な固定資産を処分する
固定資産は購入した時に全額経費にできるものではなく、減価償却という方法を通じて毎年少しずつしか経費にできませんが、売却して損がでた場合は、その売却損をその年の経費にできますし、廃棄した場合はその時点の帳簿価額をその年度の経費にできます。
不要なものを大事に持っていても1円のお金にもなりませんし、償却資産税の対象になる場合はお金にならないだけでなく税負担まで発生してしまいます。処分して節税に利用しましょう。また、有姿除却といって、実際に処分していなくても、現在使用していなくて、かつ、今後も使用する可能性が全くないものは、事実上廃棄処分したのと同じとみなし、その時点の帳簿価額を経費にすることも可能です。該当する資産があれば検討してみましょう。ただし、今後も使用する可能性が全くないということを証明するのはなかなか難しいと思いますので、できれば処分してしまったほうがよいでしょう。
【3】消耗品や少額な資産を前倒しで購入する
サロンを運営していく上で備品や消耗品は必ず必要でしょう。例えは今すぐ必要という訳ではないけれど近々必ず必要になるというものがあれば、当期中に買ってしまいましょう。
取得価格が10万円未満のものであれば、購入した年度に全額経費とすることができます。また、10万円以上のものであってもあきらめるのはまだ早いです。現在は特例制度(注1)があり、一定の要件がありますが、取得価格が30万円未満であれば、購入した年度に全額経費とすることが可能です(上限は年額合計で300万円)。注意点としては、決算間際に購入しても期末までに実際に使用していなければ当期の経費にすることはできませんから、期末1日だけでも構いませんので封を開けて実際に使用ましょう。
※注1 : 中小企業者等の少額下中償却資産の取得価格の損金算入の特例
取得価格が30万円未満である減価償却資産を平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価格に相当する金額を損金の額に算入することができます。
【4】DMなどを前倒しで行う
例えば毎月初めにその月に誕生日が来る顧客に対してDMを発送しているようなケースもあると思います。そのような場合、決算月だけ、翌月初めに送る予定の顧客に対するDMを当月末までに送ってしまえば当期の経費とすることができます。
続きは「その2」で紹介しますが、現時点ではいくら利益が出ているのかを正確に把握していなければ対策の立てようもありませんので、毎月きちんと経理処理をして月々の損益状況をその都度把握できるように心がけましょう。
プロフィール
内田晃夫(うちだあきお)
税理士・1級FP技能士
北野会計事務所監査部長
税務・財務の専門家として、理美容業界をはじめ中小企業のために走り回っている。
北野会計事務所 HP ⇒ http://www.kngroup.jp/
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